愛している誰かが死ぬとき、しかも予想していないときに死なれた場合、一度にその人を失うわけではない。
長い時間をかけて、少しずつ少しずつ失っていくのだ。
しだいに郵便物が来なくなり、枕やクローゼットにある衣類からにおいが薄れていく。
少しずつ、なくなった部分、欠けた部分が積み重ねられていき、そしてその日がやってくる。
ふと、あのひとが永久にいなくなったのだということに気づかされ、痛切な思いにかられる。
そしてまた一日、すっかり忘れて何ごともなく過ぎたと思っていると、ある日突然、失われた部分、欠けた部分に再度気づかされるのだ。
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